昨年4月から徳島大学先端酵素研究所プロテオゲノム領域ゲノム制御学分野で基礎研究を始めて、1年半が経ちました。
私自身は医者になってからはずっと臨床のみで実験初心者の上に、中学・高校以来、実験器具に触れることもなく来て基本的な器具の名前すらすっかり忘却の彼方へ消え去ってしまい、研究室の先生達に唖然とされたこともありました。そのような状態からのスタートだったので、こうして1年半基礎研究を経験して振り返ってみると、当時の自分は「かなり無謀な挑戦」をしたなと思います。それでも、先日、第76回日本癌学会学術総会で自分の研究成果を発表し、1年半で行った研究結果をまとめてみると、基礎研究に対して未知の物事を予測してそれを実験で証明するという醍醐味を感じるようになりましたし、一つの分子の働きを証明することが膨大な実験の上に成り立っていて、その裏にさらに何倍もの失敗や試行錯誤があるということがよく分かりました。
今回は臨床から基礎研究という仕事における「変化」を自分は選択しましたが、生活に関しては結婚や出産等のイベントによる変化が訪れるのに対して、仕事に関しては家族の事や経済的な事なども考慮すると年齢をとると共に変化を自分から求めづらくなると私は考えています。今回は、家族や周囲の先生方のサポートでこのような挑戦できる機会を得ることができた自分は本当に幸運だと思います。新しい事をするというのは苦労も多々ありますが、挑戦する機会は人生において何度も訪れるものではないと思うので、例え「かなり無謀な挑戦」だとしても成功するかしないかは別にしてトライすべきだなと思います。
研究以外では、岩手に住んでいた時に四国に来る機会は1度もなかったので、貴重な機会と思い隣県の香川へ讃岐うどんを食べに行ったり、坂本竜馬で有名な桂浜に行ってみたりもしました。そして、徳島といえば阿波踊りで「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん」というお囃子が有名ですが、今年は数日前に腰椎ヘルニアの手術を受けて退院直後で腰を低くしたあの独特の踊る姿勢は無理でしたので「見る阿呆」として楽しみました。そして、昨年4月に徳島に私が来てすぐに生まれた娘と休日戯れるのも楽しみで、少し前までは室内で遊ぶ程度でしたが、1歳半になると活発に走り回るようになり無尽蔵の子供の遊ぶ体力に圧倒されています。
徳島での生活も少なくなってきており、特に研究に関しては限られた時間を大切にして勤め上げたいと思います。
加藤 廉平
眉山からの徳島の眺め
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