Farewell message

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暦の上では春ですが、朝晩はまだ若干冷え込み道端に残雪もみられています。

毎年この時期になると、盛岡市内の中心を流れる中津川では「サケの稚魚放流会」が開催されます。
児童たちは嬉しそうに稚魚のたくさん入った透明カップを持って一斉に川へと放流し、稚魚が泳いでいく姿をいつまでも見つめています。なお、中津川は三陸の海と繋がっており放流されたサケは太平洋を目指します。

先日、快晴のもと本学の卒業式が行われました。

国家試験の結果発表前のためか、卒業生の面々はどこか晴れやかとまではいかないように見えました。御父兄の皆様におかれましては、ご子息、ご息女のご卒業、誠におめでとうございます。

さて、本学の目的は医学教育を通じて誠の人間を育成することです。すなわち、まず人としての教養を高め、充分な知識と技術を修得させ、更に進んでは専門の学理を究め、実地の修練を積み、出でては力を厚生済民につくし、入っては真摯な学者として、斯道の進歩発展に貢献させること、これが本学の使命とするところです。

このような本学の目的を果たした(であろう)卒業生の皆さんは、国家試験に合格すると国から医師免許証が交付され、医師としての一歩を踏み出すことになります。

希望に満ち溢れた皆さんの前で口にするのは憚れますが、医療費高騰、超高齢化社会、人口減少、医師の偏在化など、現在そして将来の日本の医療を取り巻く環境は決して明るいものではありません。しかし、医療政策がどう変わろうとも普遍的に変わらないものがあります。

病める患者さんを一人でも多く救うことは、私たち医師に課せされた使命のひとつであり、この使命を果たすためには、医師は日々研鑽を積み重ね、周囲の人々への感謝を忘れず、無償の奉仕を捧げるべきです。

卒業おめでとうございます。image1

本学の誇りを胸に、医療の発展のために邁進してください。
ちなみに、放流されたサケはアラスカ沖で4年ほどかけて大きく成長し、毎年秋になると約200㎞を遡上し再び中津川に戻り産卵します。春から医師として全国各地に勤める卒業生も4年といわず再び本学に戻ってきて、成長した姿を見せてほしいと願っています。

諸君の前途に幸あれ。

w.o