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第33回日本急性血液浄化学会学術集会 報告
伊藤 明人

岩手県立中部病院泌尿器科伊藤です。

10/7-8に岐阜県で行われた第33回日本急性血液浄化学会学術集会に阿部教授、松浦助教と参加してきました。

今回は阿部教授からご指名をいただきパネルディスカション1 災害時の急性血液浄化の中で「演題名:本格的なライフラインがいらない急性血液浄化」で発表する機会をいただきました。

災害時に生じるクラッシュシンドロームによる高K血症は致死的疾患であり、血液濾過透析は優れた救命率を得ることができる一方で、血液透析は大量の水と電気を必要とするためインフラに大きく依存する治療です。

私たちが経験した東日本大震災は津波災害であったのに対し阪神淡路大震災やこれから起こりうる都市直下型地震は建物の損壊によるクラッシュシンドロームの危険性が高い可能性があります。またインフラ、ライフラインが被害を受けることで維持透析施設の建物被害、断水、停電なとにより通常の維持透析も継続できず透析難民が発生してしまう可能性があります。

今回有事でも平時と同程度の透析を行うことのできる腹膜透析や、本格的なライフラインが必要としない急性血液浄化として、acute PD、Non machirary dialysisを阿部教授から指導をいただき発表してまいりました。

特に腹膜透析は東日本大震災学術報告書においても”災害に強い透析”と評価されています。しかしながら2020年度末において腹膜透析は透析全体の約3%に過ぎず、多くの方は血液透析を受けておられます。岩手県でもまたいつ大災害が起こる可能性もありますし、都市直下型地震、南海トラフ地震など国内でもいつ大災害が起こるかもしれません。その中で腎代替療法として腹膜透析を積極的に推奨していくことはPD 1stの観点以外にも災害対策の点からも有用と考えます。

東日本大震災を経験した岩手県においても有事の際の急性血液浄化の準備、検討を進めていく必要があると改めて感じることが出来ました。

 

 

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