平成28年度高次臨床実習報告
  • 守口 万里子さん(岩手医科大学 6年)
    東海大学医学部腎内分泌代謝内科にて研修

     この度泌尿器科における高次臨床実習の一環として、2016年5月30日から6月9日まで東海大学医学部腎内分泌代謝内科にて臨床実習を、また6月10日より大阪にて開催された第61回日本透析医学会学術集会・総会に参加させて頂きました。


     東海大学医学部腎内分泌代謝内科では、深川雅史教授をはじめ数多くの先生方に大変丁寧なご指導を頂き、とても充実した2週間を過ごすことができました。外部からの学生にも関わらず、実習しやすい環境をきめ細やかなく整えて下さり(PHSの貸し出しや、電子カルテや図書貸出のID、大学外で何かあった時の連絡や食事の心配まで)、恵まれた環境の中で安心して実習に挑む事ができました。


     東海大学の腎内分泌代謝内科は、内分泌代謝チームと腎臓チームに分かれており、腎臓チームは腎炎・末期腎不全(透析・移植)・移植腎臓外科で構成されています。私はその中で主に、腎炎と末期腎不全を担当するグループで実習させて頂きました。実際に自分の担当する患者さんを病棟で与えて頂き、それ以外にも朝夕の回診やカンファレンス、ランチョンセミナー、医局勉強会で、様々な腎疾患における診察・検査・診断・治療の一連の流れに接することがきました。


     この実習で最も驚いた事は、腎臓内科の臨床現場で扱う疾患の多さ、範囲の広さです。自分が想像していた以上に扱う疾患の分野が幅広く、膨大な知識量が求められることを実感させられました。特に東海大学の腎臓チームでは、小児・成人の各腎臓疾患の慢性期・急性期管理や、内分泌系や糖尿病による腎症はもちろんのこと、それ以外にも大学病院全科で入院されている患者さんの透析管理、移植外科の先生たちとの連携をはかり末期腎不全の患者さん・ドナーさんの腎移植手術前後の管理まで行われておりました。これにより自分の興味ある腎内のみを勉強するのではなく、今までの授業や教科書で学んできた基礎となる医学知識の習得が、将来臨床の現場に立ったとき冷静に問題を考え、分析し、解決する能力には必要不可欠なものであることをより強く実感することができ、これからの勉強に対しても意欲を高める大変良い機会になりました。


     5年生の臨床実習で腎内分泌代謝内科を回っている学生さんと一緒にクルズスと呼ばれる少人数での講義・実技実習に合流させていただく機会も多々あり、東海大学の学生さんの医学に対する情熱・積極性にも触れることができ、同じ医師を目指すものとして大変良い刺激を受けました。また東海大の学生さんから、臨床実習の一環として外部の大学や病院に行く機会がある岩手医科大学の制度に対して驚きや羨望の声を聞き、母校の良さに改めて感謝する機会にもなりました。


     2週間という期間は、奥深い学問である腎臓内科を修得するには短い期間でした。充実した実習を過ごしたからこそ尚更短く感じたのだと思います。しかし先生方が毎日、患者さんと真摯に向き合いながら共に病を克服しようとしている姿を拝見し、自分が理想・目標をする医師の姿を明確にできた貴重な2週間でありました。またこの実習を通して、腎臓内科を専門にしたいという私自身の気持ちを再確認する事ができ、本当に有意義な実習となったと思います。


     日本透析医学会学術集会・総会は、私にとって初めて参加する医学会であり、とても緊張して挑みました。しかしながら、私が当初思っていた学会のイメージ(皆がメイン会場で静かに壇上の発表を聴いている)とは異なり、多くのポスター発表・ランチョンセミナー・医療機器の展示といった多数のイベントが多数の会場で行なわれ、参加されている方々が自分の興味のある発表や分野を求め精力的に活動されており、その雰囲気に圧倒されました。学会中は、阿部教授が座長を務められた講演や、当大学の透析室に所属されている看護婦さんのポスター発表、そして東海大学でお世話になった先生方のセミナー・講演を拝聴させて頂くことができました。どの発表も専門知識が足りない私には、まだまだ難しい内容のものばかりでしたが、参加者の先生方やコメディカルの方たちが、自分の専門とする分野のプライドをかけて、お互いに意見を交わし疑問をぶつけ合い知識を深めようとしている姿に感服いたしました。また発表方法についても学ぶことが多く、どのようにしたら限られた時間の中で、自分の考えをわかりやすく人に伝えることが出来るか様々な工夫がされており、今後自分が医師になった時の症例発表・研究発表等で活用したいと思いました。


     最後に、腎臓内科志望の学生にもかかわらず高次臨床実習を受け入れてくださりました 小原航教授、外部での腎臓内科実習を実現させて下さり、学会引率までして下さいました阿部貴弥教授、またお忙しいなか毎日丁寧にご指導下さいました深川教授をはじめとする東海大の先生方に、再度深く感謝御礼申しあげます。本当に有難うございました。

  • 川上 陽子さん(岩手医科大学 6年)
    神戸大学医学部附属病院腎臓内科にて研修

     泌尿器科における高次臨床実習の一環として、神戸大学医学部附属病院腎臓内科での研修内容について報告させて頂きます。研修期間に担当させて頂いた患者さんは、透析患者さん1名と病棟(IgA腎症)患者さん1名でした。また研修期間の提出課題としては英語論文要約、先生から与えられた課題についてのレポート、病棟患者さんの要約サマリーでした。
    参加させていただいた内容としては、毎朝の透析カンファレンス、週1度の透析カンファレンス、新患カンファレンス、病理カンファレンス、西教授と藤井先生の外来見学、教授回診、藤井先生の講義、シャント手術見学、腎生検見学、頸部(副甲状腺)エコー見学です。


    毎朝の透析カンファレンスでは、その日に透析を行う患者さんの背景疾患とDWの変更などを1分程で報告するものでした。週1度の透析カンファレンスでは各患者の透析条件、血圧・体液量、貧血、CKD-MBDの評価など問題点を検討するものでした。1週目の終わりごろに透析患者さんを受け持たせていただき、2週目は朝と週1度の透析カンファレンスにて発表させていただきました。


     新患カンファレンスでは新患患者さんの主訴、現病歴、既往歴、家族歴、現在までに分かっている検査所見などからプロブレムリストを挙げ、担当医師が考える病態と疾患、今後の方針などを発表するものでした。担当させていただいた病棟患者さんについての発表は研修医の先生がされましたが、私はこの患者さんの要約サマリーを作成するのが課題でしたので研修医の先生と一緒に問診や身体所見を取らせて頂きました。


     病理カンファレンスについては、発表はすべて英語でまた内容もミトコンドリア病で少し難しかったのが本音です。
    外来見学では患者さん概要を説明していただいた上で検査データを見せて頂き、先生の質問に答えるようなものでした。


     この2週間で苦労したことは神戸大学のIDがなかったのでカルテが自由に見ることができなかったこと、透析患者さんのカンファレンス発表をしなければならなかったことです。透析について恥ずかしながら知識がほとんどなかったので、図書館で何冊もの本で調べ、準備に本当に苦労しました。しかし、その後での藤井先生による透析についての講義では、その講義についていけたので透析について少しは知識がついたのかなと実感していました。また外来では腎移植前、腎移植後のフォローや去年のポリクリではあまり見ることができなかった糸球体疾患のついても触れることができ、知識の幅が広がったように思います。


     この2週間は岩手医科大学とは違う環境での研修だったのでやはり両大学の違いは感じることができ、多くの刺激も受けました。異なる出身大学の先生方のお話、考えを聞かせて頂け、知識だけでなく、本当に貴重な研修となりました。
     外部研修の機会を設けて頂いて本当にありがとうございました。

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