ホーム > 研究・学会活動 > 留学だより
徳島大学 加藤廉平

 私はH28年4月から岩手を離れて徳島大学先端酵素研究所ゲノム制御学分野で片桐豊雅教授の下で基礎研究をしております。H19年に医師になり10年近く臨床に携わり感じてきた現状の癌治療の限界点を乗り越えていくために、癌の発症や進行のメカニズムの解明や新規の治療薬や治療戦略の開発に関する知識と研究技術の習得をすべく研究に没頭している毎日です。

 

 1週間の流れは、月曜日と木曜日の週2回、自分の研究の進捗報告を片桐教授に行い、毎週土曜日には論文セミナーと数か月に1回のペースで個々の研究報告(プログレスミーティング)を行い現状の研究の状況に関して研究室の先生方とディスカッションが行われます。私自身、岩手ではずっと臨床のみの医師人生で研究にほとんど携わったことが無い状況でしたので、徳島に来て数か月は初めてやることばかりで思うようにいかず、いざやっても失敗ばかりといった状況でした。また、分子に関する知識や実験に関する理解が不足しているために自分の研究はもちろん、研究室の先生方の報告やセミナーで報告される論文の内容も理解できず非常に苦労しました。周りの先生方にご指導いただき、勉強と実験を積み重ねていくうちに実験の手技の習熟と理解が得られて徐々に基礎研究の楽しさも感じることができるようになったと思います。

 

 同時に、臨床では患者さんとご家族に対し可能な限り理想的な医療を提供する責任を感じていましたが、基礎研究では一つ一つの実験の結果が持つ意味が重要ですので自分の実験手技の正確性の獲得や研究目的に対する適切な実験系の確立といった責任があると感じるようになりました。未知のものを解明していくためには、実験の結果が正しいのか間違っているのか判断できない不安を感じ、それを検証するために実験に実験を重ね、多くの論文を読む中で道標が見えたり、見えたと思ったら方向転換の必要が出てきたりと、すぐに結果は出ず地道な作業が多いですが非常に貴重な経験が出来ていると思います。

 

 また、基礎研究をしていくうちに、臨床をする上で病気を捉え適切な治療を提供する上で今まで持っていなかった新たな視点が得られると確信しています。

 

 徳島の生活はといいますと、街自体は盛岡と雰囲気は似ていますし冬にほとんど雪が降らず過ごしやすい所です。阿波踊りは観光場所を間違えていたらしく、昨年は日本三大盆踊りの迫力を体験し損なってしまったので今年こそじっくり体験できればと思います。

Copyright © Department of Urology, Iwate Medical University. All Rights Reserved.