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福島県立医科大学 小野田充敬

自分は、平成30年4月から福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座へ国内留学させていただいております。福島県立医科大学では、小島祥敬教授の元、排尿関連の研究と腹腔鏡手術に力を注いでおり、自分の留学のテーマは、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術後の排尿に関する臨床研究と、泌尿器腹腔鏡技術認定を目指した手術研修です。

 

臨床研究では、2012年から集計されているロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術前後の排尿に関する非常に質の高いデータベースを利用させていただいています。自分は、術前後のMRIにおける膜様部尿道長の変化に注目し、この変化のバリエーションが術後の尿失禁や下部尿路症状の経過に影響しているかを調べました。膜様部尿道長の変化のバリエーションの分類には、岩手で小原教授に勧めていただいたJMPという統計ソフトのクラスター分析機能を用い、良好な結果を出すことができました。ただし、得られた複雑な結果に対する解釈や、それを発表や論文でわかりやすく伝える技術はまだ自分にはありませんでした。昨年准教授に任命された羽賀宣博先生が寝る間を惜しんで結果の解釈およびスライドや論文の添削をしてくださったおかげで、現在、内容が固まりつつあります。論文に関しては、現時点で、小島教授の厳しい添削を受けている状況です。発表に関しては、泌尿器内視鏡学会で初回の発表を終え、ロボット外科学会で再度発表し、プレゼンの内容を洗練させている過程です。

 

泌尿器腹腔鏡手術研修については、福島県立医科大学では技術認定医の合格率が90%という驚異的な数字を出しています。羽賀准教授や小川総一郎先生、片岡政雄先生から剥離動作1つ1つにおよぶ丁寧な指導をいただき、不要な操作をしない安全な腹腔鏡下腎摘除術、腎尿管全摘除術について学んでいます。腰方形筋に沿った外側円錐筋膜の安全な切開における工夫、横隔膜損傷を防ぐための意識、左手のバイポーラ鉗子を用いた迅速な止血操作、シザースを使用した結合組織の処理・気腹剥離、腎門部処理における左手鉗子による組織牽引時の工夫、副腎温存時の工夫、腎周囲剥離時の有効なテンションのかけ方など、1つ1つの項目について御教示いただいており、目標をもって研修しています。

 

福島県立医科大学に来て驚いていることは、自分が若手であったときに比べて、この医局の若手の先生方が非常に優秀であることです。入局2年目で鎖膀胱造影や排尿時膀胱尿道造影を含む造影検査、および腎瘻増設、尿管ステント交換等の基本手技に習熟しており、また癌加療の治療方針の決定ができるまでに勉強しています。また、上級医の先生方の指導を受け、基礎分野の知識が豊富です。学会の発表前の練習会や、研究テーマについて進捗を発表する研究会では、小島教授から内容に関して鋭い指摘が入り、石橋啓准教授や羽賀准教授が若手をサポートして軌道修正を図っています。若手も積極的に勉強し、上級医に相談しながら発表や論文の内容を高めています。結果として多くの業績を上げており、学ぶことが多い環境です。

 

2019年1月20日 小野田充敬

 

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