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第66回日本透析医学会学術集会・総会 報告
伊藤 明人

令和3年6月4日-6日にパシフィコ横浜で開催された第66回日本透析医学会学術集会・総会に現地参加してきました。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響でweb参加のみになりましたが、今年はワークショップに選んでいただいたこともあり感染対策を充分に行った上で日帰りでの参加といたしました。約2年ぶりの東京となりましたが、やはり人通りは以前よりは少なく電車の中も会話する人がいないというのが印象でした。

今回私は「透析の開始と継続に関わる意思決定プロセスについての提言に基づいた岩手県立中部病院モデルの策定」という演題で発表してきました。平成31年に起きた透析中止による事件をきっかけに日本透析医学会は2014年に出された維持透析に関わる意思決定プロセスについての提言を2020年に改訂しています。岩手県立中部病院は岩手県中部医療圏における中核病院としてこのプロセスを整えることが重要と考え、2020年7月より泌尿器科、緩和ケア科共同で行っています。

今回の学術集会・総会もまさにこのプロセスや末期腎不全患者における緩和ケアがメインテーマの一つになっており、私もワークショップ「末期腎不全患者における緩和ケアのあり方」で発表する機会をいただきました。まだまだプロセス自体の認知度が低く、実際にこのセッションでプロセスについて発表していたのは自分だけということもあり、座長の先生や同じセッションで発表した先生方からは非常に好意を持って受け止めていただいたと感じています。

私たちは日頃癌治療も行っており、癌領域においては緩和ケアは日常的に行われているものですが、腎不全のような非がん性疾患における緩和ケア治療はまだ保険適応がなく浸透していないのが現状です。しかしながら腎不全などのひがん性疾患でも緩和ケアは終末期医療、Advance Care Planningを行う上では癌疾患と同じく重要と考えています。まずは岩手県立中部病院としてプロセスを進めていく事はもちろんですが、今後は岩手腎不全研究会として岩手県全体で非がん性疾患患者に対する緩和ケアを啓発、浸透させていきたいと考えています。

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